目次
RLSのプレス式継手は、商業用冷媒配管における銅管接続の2つの課題に対応するソリューションです。1つ目は「ろう付け施工に伴う火気管理、ガス管理、熟練技能への依存」、2つ目は「ねじ接続方式における各接続箇所での手作業によるトルク管理のばらつき」です。冷媒配管システムでは、接続品質のばらつきがシステム全体の信頼性や、空調設備の性能・冷暖房能力に直接影響します。
RLSプレス継手は、これらの不確実性が伴う作業を専用プレスツールによるワンプッシュ接続へ置き換えます。その中心となる技術が、RLS独自のデュアルシーリング機構です。「Metal to Metal」圧着による機械的固定(2つのプレスバンド)と、HNBR素材のOリングによるシール機能を、一度のプレスで形成します。2つの独立した接続機能により、施工者の経験や技能に依存せず、安定した高品質な配管接続を実現します。
火気使用と手作業によるトルク管理:変動要因をプレス式継手が解消
ろう付けやねじ接続方式では、天井内など施工後の確認が難しい環境において、最終的な接続品質を客観的に確認することが容易ではありません。ろう付けでは施工者による火炎制御や施工技能に、ねじ接続方式では締付トルクの管理に、接続品質が左右されます。
VRF(ビル用マルチエアコン)のように多数の接続箇所を持つシステムでは、この施工条件によるばらつきがシステム全体の信頼性に影響する可能性があります。
| 項目 | ろう付け | ねじ接続 | RLSプレス継手 |
| 火気使用 | 必要 | 不要 | 不要 |
| 有資格技能 | 必要 | 不要 | 不要 |
| 手作業によるトルク管理 | 不要 | 必要 | 不要 |
| 専用プレスツールによる施工完了確認 | 不可 | 不可 | 可能 |
ASHRAE RP-1808の調査では、プレス式継手がISO 14903における気密接合基準を400%上回る締結性能を示したと報告されています。この結果は、施工者個人の技能ではなく、施工方式そのものによって実現される性能です。
手作業による接続から自動圧着へ
従来の配管接続では、品質管理の多くが施工者の技能や経験に委ねられていました。RLSのプレス式継手では、専用プレスツールを用いた標準化された施工方法で、施工者に依存しない、安定的で高品質な施工を実現しています。
RLS専用ツールによる施工3ステップ
- 準備:銅管の下処理
- 挿入:銅管に継手を差し込む
- 圧着:専用ツールでワンプッシュ(自動圧着)
火気、ろう材、手作業によるトルク管理は必要ありません。
これを可能にするのは、継手自体の設計です。焼鈍処理された継手は高精度な寸法管理で成形され、HNBR素材のOリングは継手内部に適切に配置されています。
専用プレスツールで自動圧着することで、銅製継手が配管外周に沿って変形し、設計された通りの接続状態を形成します。RLSは、この施工プロセスをHVAC/R冷媒配管用途向けに設計しています。ASTM-B75およびASTM-B743規格に基づく冷媒用銅継手、R32を含むA2L冷媒対応のHNBR素材のOリング、専用プレスツールを組み合わせたシステムとして提供しています。
※継手・HNBR素材のOリング・専用プレスツール・ジョーは、一体として性能を発揮するよう設計されています。RLS指定外のツールを使用した場合、設計通りの接続性能を発揮することができません。
RLSのデュアルシーリング機構
RLSと一般的な機械式継手との大きな違いは、シール構造にあります。多くのプレス式継手がOリングによる単一のシール構造を採用しているのに対し、RLSは1回のプレス動作で「機械的固定(2つのプレスバンド)」と「シール機能」という二つの独立した接続機能を形成します。
一つ目の機械的固定を担うのが、金属同士(Metal to Metal)の圧着構造です。専用プレスツールによる圧着により、焼鈍処理された銅継手が配管外周に沿って変形し、固定されます。この構造により、熱膨張や圧力変動、振動に対する保持性能を発揮します。
二つ目のシール機能を担うのが、HNBR素材のOリングです。Oリングは継手本体と配管表面の間で圧縮され、シール機能を担います。
これら二つの接続機能により、長期にわたる高い信頼性を担保します。
| 仕様 | RLS |
| 最大使用圧力 | 4.8 MPa (700 psi) |
| Oリング使用温度範囲 | -40°C〜+149°C |
| 適対応冷媒 | R-32、R-410A、R-134a、R-290(可燃性あり)など多数冷媒に対応 |
| 耐振動性 | UL109適合 |
| 対応配管サイズ | 6.35mm〜41.28mm |
| 保証 | 15年限定保証 |
VRF施工においてR32への移行が進む中、ISO 817でA2L(微燃性)に分類されるR32が狭小空間で漏えいした場合、条件によっては着火リスクにつながる可能性があります。各配管接続箇所に二つの独立した接続機能を備えることは、単なる性能仕様ではなく、システム信頼性を支える重要な要素です。
日本ではR410A冷暖切替(H/P)機種が2025年4月以降メーカー出荷停止、冷暖同時システムは2027年4月以降出荷停止、リプレース機種は2029年出荷停止予定となっており、今後導入される設備ではR32冷媒への対応が重要になります。
専用プレスツールが実現する施工品質の再現性
専用プレスツールおよびジョーは、RLSシステムの単なる付属品ではなく、プレス圧力を制御し、RLSマーク刻印による施工確認を可能にする中核要素です。施工手順に従い、指定されたツールで圧着することで、RLSプレス継手として設計された性能が発揮されます。
専用ツールは、施工者に変わってプレスに必要な加圧力、時間を制御します。1回のプレス動作で設計された通りの圧着が行われ、広い機械室での施工でも、使用中の建物内にある400mm程度の狭小な天井空間での施工でも、一定した品質で接続できます。
また、技能者不足が課題となる日本の商業用空調市場において、ろう付け資格者への依存を低減できる点も大きなメリットです。ろう付けは習得に年単位の経験を要する技能ですが、RLS専用プレスツールは短期間のトレーニングを経た施工者が使用でき、経験が施工品質に及ぼす影響を最小化します。
実際の施工現場で得られるメリット
プレス式継手の実用上のメリットは、大規模施工において特に顕著です。VRF施工では総配管長が最大1,000mに及ぶケースもあり、分岐部・縦配管・室内機接続部など相当数の配管接続箇所が発生します。従来のろう付け施工では、これら一箇所ごとにガス設備、有資格者の手配、火気管理が必要でした。
RLSプレス継手では、施工手順を「準備・挿入・圧着」に集約できます。専用プレスツールを使用することで、1箇所あたり10秒未満で接続施工が完了します。ろう付けと比較して約60%の施工時間短縮が可能とされており、ガスボンベ、窒素バックシール、火気使用許可は不要です。多数の接続箇所を持つ大規模VRFシステムでは、この時間短縮が積み重なり、工期短縮や現場調整負荷の低減につながります。
ASHRAE RP-1808の調査では、プレス式継手は圧力・温度サイクル試験、凍結・融解サイクル試験、振動試験を含む耐久性試験の全項目において、施工時間が最短、施工ミスが最少、不具合件数が最少という結果が報告されています。さらに、RLSプレス継手は世界で2,000万件以上の導入実績を持ち、15年限定保証も付帯しており、施工速度・品質の均一性・信頼性を兼ね備えています。
厳しい工程管理と高い品質が求められる空調設備の施工において、施工スピード、品質の一貫性、実証された信頼性を提供できることが、RLSプレス継手の価値です。
RLSプレス継手が変える、施工現場の品質管理
冷媒配管施工の品質は、従来、施工者の技能と経験に大きく依存してきました。火気管理、締付トルクの管理、施工後の確認の難しさといった課題は、接続方式に起因する構造的な制約として長年残ってきたものです。
RLSプレス継手は、特許技術のデュアルシーリング機構による継手構造と専用プレスツールによる施工プロセスの標準化を組み合わせることで、こうした課題の解消を目指しています。火気不要、短時間での習熟、施工品質の均一化といった特性により、現場における品質管理のあり方そのものを変革します。
接続品質を施工者の経験ではなくシステム設計によって規定するという考え方が、RLSプレス継手の技術的な本質です。
プレス継手の詳細については、RLS Japanまでお気軽にお問い合わせください。
参考資料
- https://www.jraia.or.jp/product/file/A2L_guide_2025_250416.pdf
- https://www.env.go.jp/earth/furon/files/int_01-16_202503.pdf
- https://www.jraia.or.jp/outline/refrigerant/research/table_of_physical_property.html
- https://www.jraia.or.jp/english/relations/file/2507asap_OEWG47%20Sideevent_METI%20Mr.%20Yamada%20presentation.pdf
- https://docs.lib.purdue.edu/iracc/1940

