RLSプレス継手の活用領域:HVAC/R、業務用空調(ビルマル、VRF)向け火無し配管施工とは

一口に空調システムといっても、すべてが同じ配管リスクを抱えているわけではありません。日本ではRAC(ルームエアコン)・PAC(パッケージエアコン)・VRF(ビル用マルチエアコン)という3種類のシステムが存在し、それぞれ接合箇所の数(= 使用される継手の数)や不具合発生時の影響範囲が異なります。RLSは、最も高い信頼性が求められる商用、業務用空調向けにHVAC/R用プレス継手を開発してきました。これらのビジネス領域における継手の建築コストに占める割合は低いものの、一つひとつの配管接続が空調システム全体の品質を大きく左右する重要な要素となります。

RACでは配管長が短く、接続箇所も限られています。一方、VRFを用いたオフィスビルでは、総配管長が1,000mに達するケースもあり、配管接続箇所は相当数に及びます。その多くは天井裏等の狭小空間に設置されます。RLSのプレス継手が真価を発揮するのは、まさにこのような環境です。

この規模になると、一つひとつの継手が重要な判断ポイントとなります。プレス式継手は、その配管接続施工から“火気”という要素を排除します。RLSはHVAC/R向けプレス継手のパイオニアとして、専用プレスツールを用いた標準化された施工方法で、施工作業者の技能および経験に依存しない、安定的かつ高品質な施工を実現しています。

火気不要のプレス式継手が有効な場面を理解するには、継手がどこに存在し、どれだけあり、不具合発生時にどのような影響が生じるのかを把握することが重要です。

1. 日本の空調システムと継手が使用されるケース

RAC:住宅用家電に分類され、容易且つ短時間での配管施工が求められる

RACは住宅や小規模空間向けの空調システムです。室外機1台と室内機1台で構成され、配管長が短く、配管接続箇所が少ない点が特徴です。また、使用冷媒量も少なく、フレア接続が一般的であり、技能(及び火気)を要するろう付け施工が行われるケースは多くありません。尚、継手として、ナットを用いるフレア接続は、PAC, VRFの一部でも使用される施工方式となり、フレア面の仕上がりが施工品質を左右します。また、ねじを用いた配管接続方式においても、トルク管理(ねじの締め不足・締めすぎ)が重要となり、経年使用時の戻りトルク(熱膨張・振動・配管の曲げ方向等により締め付け方向と逆方向に力が加わり締付トルクが低下、ねじが緩む現象)の発生を考慮する必要があると考えられています。

PAC:商業用空調となり配管施工に信頼性が求められる

PACは主に、店舗、事務所、工場や商業施設向けに使用されます。RACよりも冷房・暖房能力が大きく、使用冷媒量も増えることから、永久接続とされるろう付け施工が必要になります。

基本的には、RAC同様1台の室外機に対して1台の室内機が接続されるシステム構成ですが、RACより配管長が長く、室内機を複数台接続できる機種もあり、配管接続箇所も多くなります。

VRF:大容量の業務用マルチシステムとなり、配管接続箇所も多く、テナント企業向けに高い信頼性が求められる

VRFの主な用途はオフィスビル、ホテル、大型商業施設となり、1冷媒系統が複数の室内外機から構成されるマルチシステム。総配管長は最大1,000mとなり、分岐管、ベッダーを介した広範囲にわたる配管システムを構築し、冷媒を循環させます。配管は天井裏、縦配管スペース、廊下などを通って敷設されます。主管接続部、分岐ジョイント部、縦配管接続部など、あらゆる箇所でろう付け接続が必要となります。

これら3種類のシステムでは、使用される継手の数に大きな差があります。

システムRACPACVRF
主な用途住宅店舗・事務所・
中小規模商業施設
オフィス・ホテル・
大規模商業施設
一般的な接続方式フレア接続ろう付け接続・
火無し継手
ろう付け接続・
火無し継手(特に、火気使用NGのリプレース物件)
継手数非常に少ない少~中程度非常に多い

火無しプレス式継手の有効性は、継手数が増えるほど高まります。RACでは適用機会は限定的ですが、PAC、VRFではシステム内のほぼすべてのろう付け箇所が対象となります。

RLS継手はASTM-B75およびASTM-B743規格に適合した冷媒配管用銅材を採用し、R32を含むA2L冷媒対応のHNBR素材のOリングを搭載しています。対応サイズは6.35mm〜41.28mmとなり、VRFおよび業務用空調で使用される配管サイズをカバーしています。

2. なぜVRFは「高リスク領域」なのか

VRFは、容量が大きく1冷媒系統で大規模なスペースを空調できることが最大の特長です。しかし、「単一冷媒系統で複数スペースを個別分散」という構成は、そのまま継手品質の重要性にも直結します。

VRF配管の規模

大規模なVRFシステムでは、以下のような最大配管長となります。

  • システム総配管長:最大1,000m
  • 室外機〜室内機間の最長実配管長:最大165m
  • 室内外機の最大高低差:最大90m

配管長が長くなるほど、必要な冷媒量も増加します。つまり、継手の施工不良が発生した際に漏えいする冷媒量も増加することになります。

冷媒に関するリスク

日本市場では、冷媒がR410AからR32へ移行しています。これは欧州のF-Gas規制をはじめ、世界的な潮流となります。R410AのGWP(地球温暖化係数)は2,090ですが、R32は675と大幅に低減されています。一方で、R32はISO 817においてA2L(微燃性)に分類されており、不燃性のR410Aとは異なります。つまり、狭小空間でろう付け施工不良による冷媒漏えいが発生した場合、単なる能力、性能低下ではなく、着火リスクに伴う安全対策も考慮しなければなりません。また、フロン排出抑制法(2015年4月施行)では、業務用空調設備における冷媒漏えいの管理・報告義務が定められています。継手の施工不良に起因する漏えいにおいても、単なる保守対応ではなく、法令対応上の課題となります。

今後、更なる低GWP冷媒へのシフトが想定されますが、これらの冷媒は、”高圧”、”可燃性”、”毒性” といった特性を持っており、冷媒漏洩対策が益々重要となってきます。

不具合発生時の影響範囲

VRFシステムで継手による配管施工不良が発生すると、影響は複合的に広がります。

  • HFC冷媒 (フロン類)の大気放出
  • 広範囲にわたる空間での冷暖房能力の低下
  • 消費電力増加に伴う性能低下
  • R32滞留時の着火リスク
  • 建物管理者による漏えい報告義務への対応

RACであれば「1室の不具合」で済む問題も、VRFでは建物全体の運用や法令対応に関わる課題へ発展します。

RLSプレス継手は、このリスクの根本原因にアプローチします。冷媒漏えいの多くは、施工時の人的要因(人的ミス)によって発生します。RLSは、施工作業者の技能および経験に依存する火気を用いたろう付け作業を、専用ツールによる自動圧着施工へ置き換えることで、継手ごとの施工品質のばらつきを抑制します。

3. VRF施工におけるプレス式継手の適用箇所

一般的なVRFシステムでは、ろう付け接合部は主に以下に存在し、プレス式継手はこれらのあらゆるろう付け箇所に適用可能です。施工時間を大幅に短縮でき、人手不足、現場作業の効率化にも寄与します。

  • 主管、縦配管接続部:室外機から第一分岐ジョイントまでの(各階をまたぐ)配管
  • 分岐ジョイント接続部:分岐ジョイントから各室内機にわたる枝管(最も継手密度が高い箇所)
  • 天井埋込型室内機接続部:天井埋込型(主にダクト)室内機と枝管との接続部

上記はPACシステムも同様であり、ろう付けが必要な箇所であれば、プレス式継手への置き換えが可能です。

総配管長が最大で1,000mに及ぶ VRFでは、継手数が使用される配管接続箇所は相当数に達します。そのすべてを、同一ツール・同一手順(専用ツールでOne Push)で施工できる点がRLS製品の特長です。専用のプレスツールとRLS製継手は、一体のシステムとして設計されています。

4. 火無し施工が接続プロセスを変える

従来のろう付け施工では、現場までガスボンベを持ち運び、資格保有技術者が配管と継手をろう材を用いて接合する流れとなります。また、前段階として、配管内の酸化や(圧縮機、バルブの故障につながる)すす混入を防ぐ為、窒素ガスを流してバックシールを行う必要があり、窒素ガスの管理が必要となります。同工程を、全配管接合箇所にわたって繰り返さなければならず空調システム全体の品質確保に欠かせない作業工程となります。

一方、プレス式施工では、専用ツールのボタンを押すだけで、配管と専用継手の圧着、接続が完了し、火気やガス機材、バックシール等の作業工程も不要です。また、施工手順が標準化されているため短期間で技術習得しやすく、技能労働者の高齢化や人手不足への対応という観点でもメリットがあります。

継手数が相当数に及ぶVRFでは、この差が施工全体に大きく影響します。冷媒漏えいは銅管継手部で発生するケースが多く、その主因は人的な施工ミスによるものとされています。ツールを用いた標準化された施工プロセスにより、施工品質のばらつきを抑制します。

尚、海外(特に、外国人労働者が多い北米、欧州、豪州)においては、プレス式施工はろう付けに続く、一般的な施工方法として採用されています。

JRAIAの調査では、日本国内のVRFシステムに使用される室内機の大半が天井設置型とされています。RLS専用プレスツールは、ろう付け作業が難しい天井裏等の狭小空間でも施工可能です。

その結果、1箇所でも数千箇所でも、同等の施工品質を実現することができます。RLSでは、Oリングを含む継手と専用プレスツールを一体設計することで、再現性の高い品質を提供しています。

5. なぜ「接続方式」がシステム全体に影響するのか

RAC、PACのようなシングルスプリットシステムは、配管長が比較的短く、継手数も限られています。そのため、接続方式がプロジェクト全体のリスク要因になるケースは多くありません。

一方、VRFを採用するプロジェクト、物件では条件が大きく異なります。総配管長は最大1,000mに及び、接合部は相当箇所に達します。さらに、冷媒にはR32が使用され、接合部は基本的に天井裏空間に設置されます。

この規模になると、接続品質は単なる施工手法の違いではなく、安全性・法令対応・システム性能に直結する重要事項となります。

プレス継手の詳細については、RLS Japanまでお気軽にお問い合わせください。

参考資料


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